ふくおかのお魚フェア福岡県で獲れる旬の魚が食べられるスポットを
紹介するポータルサイト「ふくおかの魚フェア」
只今「夏フェア」開催中!

今が旬!春魚が食べれるお店

久留米市

えつ漁の風景

筑後川からの贈り物。

5月半ば、筑後川沿いのうなぎ料理店『かねひろ』のご主人・鐘ヶ江博文さんにお願いして、エツ漁の船に同乗させていただいた。時刻はもう昼に近く、潮は引き潮。筑後川の上流から下流へ向けて徐々に流れがもどっていく。干満の差が大きい有明海に注ぐ筑後川の下流域では、満ち潮になると海水が川の流れに逆らって上流へと上っていく。エツは産卵のために、この干満の差を利用して有明海から上ってきて、川の淡水と海の海水が混ざり合う汽水域で徐々に体を慣らし、淡水の領域へとやってくる。それがちょうど鐘ヶ江大橋から上流の下田大橋付近と言われ、餌となる動物プランクトンも多。ここで栄養を蓄え産卵に備える頃のエツが最も美味しいとか。「私たちは「海エツ」「川エツ」ってよく言うんですが、まったく味が違います。淡水で暮らすエツは臭みもなく、脂ものって、刺身にすると本当に美味しいんです」。  エツ漁が認められている期間は毎年5月1日から7月20日まで(料理屋で扱う期間は店により異なる)。福岡県側でエツ漁が認められている漁船には黄色い旗がついている。エツ漁は「流しさし網」という漁法で行われる。川の流れに対して網を真横に張り、そのまま流れに任せて流し、その網にかかった魚をとるという仕組みだ。川の幅に対して網の幅は半分以上もあるので、目印に大きなウキが付いている。ゆっくり網をたぐりよせると、ナイフのように輝くエツがかかってきた。網に絡まったエツを丁寧にはずし、エアポンプ付きのクーラーボックスに入れていく。「エツはとてもストレスに弱く、すぐに死んでしまうんです。私はこの方法で数時間は活かしておくことができ、活かした状態で店までもっていきます」。店に戻ると、さっきとったばかりのエツをすぐにさばいて、そのまま昼の料理に出す…そのスピード感に驚く。一方、夜出す方のエツは、神経締めにして、血抜きをし、鮮度を保たせるのだそうだ。  この日、結局1回の漁で70匹かかった。「ちょっとこれは多すぎです。だいたい1回に30匹、1日に3、4回出て100匹とれればちょうどいいんです」。年々エツ漁に出る人は少なくなり漁獲量も昔に比べればずいぶん減ってきたと言われる。だが今年はエツの育ちが早く、漁獲量も多いという。「エツの数は3、4年周期で変わっています。去年は少なかったんです。でも今年は増えてきてるから、たぶん来年はもっと多くなると思いますよ」。  岸辺に生えた葦の葉が風にそよぐ筑後川。きらめくのは川面の光かエツの鱗か。食後はぜひ長閑な夏の筑後川の風景も味わいたいものだ。