高度な技術でハモをさばく!

質の良いハモには、腕の良い料理人が必要だ。ハモの産地である豊築エリアには『骨切り』という高度な調理技術を持った料理人がいる。美味しいハモを食べるために料理人の技が光る。

豊築漁協直売所「四季旬海」でハモを品定めする『まるとら』の筧さん(写真右)。直売所店長・宇都宮さんから漁況や海況などの情報を得ながら、今後の仕入れ具合などを図る

体の太り具合、バランスの良さなど、料理に使えそうな素材を選ぶ

「四季旬海」で、きちんと活け締めまでしてもらった後は店でさばく

宇島漁港の目の前に建つ『うみてらす豊前』1階『豊築漁協直売所「四季旬海」』は、朝9時にオープンするやいなやハモを求めて、料理人たちも買いにやってくる。
豊前市千束にある『創作居酒屋まるとら』のご主人・筧俊太郎さんも、自らここにハモを買いに来る料理人のひとりだ。祖父の代から鮮魚店を営み、自分も若い頃から親の元で魚屋を手伝っていたという筧さん、今では料理人としてハモをさばく側となったが、その目利きは確かなもの。水槽で泳ぐハモの肌を優しく触りながら「うちの店では、1.5〜1.8キロの少し大きめのハモを選びます。頭から尾っぽまで均等に丸く太っているものを選んでます。ハモの胴をよく見ると横腹に斜めのスジが並んでいますが、この間隔が細かいほど良いんです。間隔が広いと骨が固い。僕らはスジが良いとか悪いとかいいます」。筧さんは、選んだハモを一旦ここで活け締めしてもらい、店に持ち帰って手早く開いて自ら骨切りを行うという。
骨切りは専用の大きなハモ切り包丁を使い、ジャッジャッジャッと小気味良い音をたてながら切っていく。ハモの身には硬くて細かい骨が複雑に埋まっているため、これを断ち切らなければ食べられない。しかも皮一枚だけを残しながら細かい切り込みを入れていく高度な技術。普通の料理人ではとても難しい。
「昔の漁師さんはハモを獲っても骨切りが面倒なので、胴は捨てて頭だけ煮て食べると聞いたことがあります。頭も実に美味しいんです。ハモは内臓も全部食べられますから」。
今回、豊前市、吉富町、上毛町の飲食店が、ハモを使った期間限定の特別料理を提供する『豊築の鱧フェア』を開催する。ハモの産地ならではのグルメイベントで、地元料理人による様々なハモ料理をぜひ味わっていただきたい。

薄皮一枚残しながら、ハモの複雑な骨を断つのはとても難しい技術

父親の鮮魚店で培った魚さばきの技術は名人級。しかしハモの骨切りはたいそう骨が折れるとか

ハモ切り包丁は鮮魚店時代から使われているもの

ハモは真子や肝などの内臓から頭の先まで全て美味しい

骨切りした新鮮なハモは、出汁にくぐらせると牡丹の花のように