『福岡有明のり』をさらに美味しく
海苔生産者が苦労を重ねて作り上げた『福岡有明のり』は、さらに多くの職人たちの手を経て、評価され、吟味され、技が加わって、完成された商品へと進化していく。検査員、仲買業者、加工業者、料理人、さまざまな手が海苔の価値を伝え、手が加わるごとにその価値を高めていく、その過程も見過ごすことはできない。
組合別、等級別に箱詰めされた乾海苔がずらりと並ぶ入札会場。顧客のニーズに合う海苔を求めてプロの厳しい眼が光る
査定会は様々な角度から基準となる海苔を選び出す場
同じ有明海でも場所により色付きなど大きく異なる場合も
『福岡有明のり』の全体像をずっと見守り続けて17年。「有明海の中でも福岡県の海苔は本当に美味しいと思います」
全体像をみて
今季の海苔の基準を評価する
海苔師が仕上げた板海苔(乾海苔)は、入札前に各漁業協同組合で選任された検査員により、色・艶・香りを基準に、優等・特等・1等・2等・3等・4等などの等級で分けられる。さらに各等級には、重い・光沢・小穴が空いている・青のりが混ざる…などの特徴も加わり、『福岡有明のり』の等級分けは全部で500を超えると言われている。特に味・香り・食感の全てにおいて最高品質が認められた海苔には最高ランクの『旬』が与えられる。 福岡有明のりの検査員長・大久保さんによれば、各漁協での検査の前に一度全ての漁協から海苔が集められ、格付けの基準値を決める査定会があるそうだ。「査定会には全ての漁協から海苔の見本が集められ、全体を見ながらまずは目安として真ん中の等級となる海苔を決めます。各漁協の検査員はそれを基準に等級をつけるわけです」。12月に行われた今季最初の査定会では「今年も美味しい海苔ができています」と嬉しそうに話してくれた。
美味しい海苔は、加熱すると
さらに美味しく美しく変化する
今年の海苔を「とてもよく味がのった、美味しい海苔ができているという印象です」と評価する丸川海苔の渡邉さん。様々な海苔師が切磋琢磨、努力を重ねて作り上げた海苔の中から吟味して、長年の経験でさらに美味しい海苔に仕上げる。それが丸川海苔の仕事だ。生産者(海苔師)が一次乾燥で仕上げた乾海苔にはまだ10〜15%ほどの水分が残っているが、これを二次乾燥(火入れ)を行うことで水分量を4%以下に減らし、パリッと張りのある海苔に仕上げる。さらに焼き加工が加わると、香りと旨味を増した美味しい『焼き海苔』に変身する。
「焼き加工は用途により焼き加減も違います。例えば巻き寿司用の海苔は、高温で強く焼くと、寿司の水分を含むことで磯の香りを強く引き出すことができます。食卓なら海苔は食べる前に少し熱を加えて、乾燥させるだけで格段に美味しくなります」。
白柳荘でも使われている焙炉(ホイロ)は、海苔を炙るのではなく、海苔をほんのり温め乾燥させるためのもの。『福岡有明のり』を焙炉で温めると、海苔はパリンと弾けるように割れ、磯の薫り、海苔の旨味が引き出されてより美味しくなるのだ。
今まで知らなかった海苔にまつわる楽しい話がどんどん出てくる渡邉社長
「海苔のこと、知らないことばかりでしたが、勉強すればするほど、奥深くて楽しくなります」と辻料理長
知れば知るほど、食べれば食べるほど
海苔の魅力は味わい深くなる
柳川産の海苔を使って海苔尽くしの料理を作ってほしい——白柳荘社長・富安信一郎さんが、料理長の辻さんに話を持ちかけたことから始まった海苔のフルコースづくり。
「最初は簡単に考えていたんです。でも実際にやってみると、色は全部黒いし、難しかった…」と当時を振り返る辻料理長。「自分なりに海苔を溶かしてソース作ってみたり、既存の有明海料理をアレンジしてみたり、海苔業者さんの意見も聞きながら、社長と共に試行錯誤を繰り返しました」。そんな折、中村学園大学・三堂徳孝教授(当時)を中心として開催された料理講
座「やながわ食の学校」は大きな追い風だった。三堂教授や講師のシェフから、冷凍の生海苔を使う案や、盛付けの色合いの工夫などの助言もあり、海苔はバターやクリームにも合い、和食でも洋食でも、合わせることができることを学んだという。「この経験で、海苔に携わる方々にもたくさんお会いし、海苔の奥深さを知り、だんだんと楽しくなりました」。知れば知るほど、関われば関わるほど、海苔の魅力は味わい深いものになったという。
柳川や、有明海沿岸地域に来たなら、この美味しい『福岡有明のり』をぜひとも味わってみてほしい。